朝井リョウさんの「武道館」を読んでみました。
知名度がないアイドルグループが時間をかけながら、夢である武道館のライブを目指していく物語です。
坂道グループが好きな自分には、ぴったりの本かもしれない…!
という理由で手に取りました。
アイドルのファンである我々が観ているのは、あくまでもテレビやライブなどの外向きの世界。
しかし、朝井さんの武道館を読むことで、ファンが知ることのできないグループの内側の世界を知ることができました。
ときどきグループに密着する動画が公開されたりしますが、自分はそういった日常の姿を見られるのがとても好きなんですよね。
- 自分とは違う世界にいるアイドルという存在は掛け離れたものだと感じる。
- でも実際は自分たちと同じ人間であって、小さなことで一喜一憂しながら生きている。
といったことを感じることで、よりアイドルに親近感を覚えるのではないでしょうか。
(そうして沼にハマっていくんですよね…笑)
最後に、心に残る文章が多かったので、メモに残しておこうと思います(アイドル関連のこと以外も)
朝井さんの文章には「おもてに出すことができない心の中のモヤモヤ」を上手く表現する力があると感じました。
それでは気になった文章を見ていきましょう。
どんな情報でもリアルタイムに手に入れられるがゆえ、あらゆるものから置いていかれているように感じる
p34
このブログで何度も書いていますが、SNSの普及によってもたらされた弊害ですね。
どんどん新しい情報が出てくるので、それに追いつけないと周りから遅れてしまう…
といった焦りによって、どんどんインターネットから抜け出せなくなるのだと思います。
欲しいCDがある。聴きたい曲がある。
p134
観たい動画がある。知りたい情報がある。
その欲をかなえるために、まず無料でできる方法を選択するようになったのは、いつからだろう
これもインターネットの弊害ではないでしょうか。
たしかに自分が中学生の頃(2010年くらい)は、欲しいものはお金を出さないと手に入れられないことが多かったです。
お金を払わずに手に入れられることで多少クオリティが低くても納得できる。
別に損するわけでもないから、無料のもので時間を消費する
と言った流れになりつつあるんですかね。
聴きたい曲を手に入れるために、街のCD屋さんに行ってた時代が懐かしいです…!
いつだって言いたいことは
p301
こんなにも広い世界のほんの隅っこでしか言えない。
誰にも聞こえないような声でしか言えない。
これはアイドルの立場からの悩みについて書かれていた文章。
世間から注目される仕事をすることになり、本音を隠して建前で生きていくことを求められた結果です。
人間は誰しも「他人に認められたい。もっと多くの人に自分の価値を理解してもらいたい。」といった承認欲求があると思います。
それが満たされるような場所まで登りつめたところで、逆に「自分の言いたいことを言えなくなった」という悩みに繋がってしまうみたいです。
自分はなるべく目立たずにひっそりと生きていきこうと思います(笑)
やりたいこと。夢、いま自分がいる環境、現実。
p306
全ては両立しない。だからは人は選択をする。
ならば、その選択にどうにかしてマルをつけたかった。
正しい選択なんてこの世にない。
p324
たぶん「正しかった選択」しかない。
何かを選んで選んで選び続けて
それを一個ずつ正しかった選択にしていくしかない。
つい損得勘定で動いてしまう自分の心に刺さりました…
どういう結果になったか分かった後でないと、その時の選択が正しかったどうかは判断できないんですよね。
自分は不安障害を抱えていることもあり、ストレスのない未来を過ごすために今やるべきことを考えてしまうクセがあります。
ただ結局のところは未来になってみないと、今やっていることが正解か失敗か分からないんですよね。
それなら未来のことばかり考えずに、今できることを小さなことから試していくのが良いのかもしれません。