こんにちは、もっちーです。
今回はあさのあつこさんの「彼女が知らない隣人たち」を読んだ感想を書いていきます。
あさのさんの作品では、野球をテーマにした青春小説の「バッテリー」が有名だと思います。
てっきり青春系の小説をメインで書かれている作家さんだと思っていましたが、今回の作品ではコロナ禍で閉塞した世の中を舞台にした”社会派ミステリー”のような内容になっていました。
対岸の火事のように感じていた
自分を「そういうとこだぞ」と
叱ってもらえたような気持ちです
町田そのこさんの解説より引用
コロナが流行り出してマスクや自粛といった言葉が飛び交う中、さまざまな先行く不安に悩まされた記憶があるのではないでしょうか?
仕事や家族、人間関係で大きなストレスを抱えてしまったり、自分自身のメンタルを病んでしまったり。
自分は「強迫性障害」になってしまい、思うように過ごせない日常に苦しさを感じていました・・
今回の「彼女が知らない隣人たち」で主人公になっているのは、夫と子ども2人の家庭を持っている40歳の主婦です。
夫は人の気持ちを理解する力が欠けていて、息子とは落ち着いて話せる機会が減っている。
さらに娘はコロナ禍の自粛生活により少しずつ太ってきてしまい、食事の制限をするために強く当たってしまう。
家庭のあれこれを解決するだけでも大変なのに、パート先でも大きな問題が発生して・・。
といった不穏なできごとに囲まれた日常生活が描かれています。
最後まで読み終えると、タイトルの「彼女が知らない隣人たち」という意味が理解できます
結局どのような未来に繋がっていくのか・・作品内では明かされていませんが、モヤモヤとした先が見えない日常を変えていこうとする気持ちが伝わってきます。
これまでは深く触れないようにしてきた「身近な人たち」の本心を知ることで、このままではダメだと感じて新しい行動を起こしていくラストになっていました。
それでは最後に心に残った文章をメモしておきます。
ウイルスじゃなくて人間から身を守るためにマスクをつけている
p120
言葉に詰まりそれでも懸命にしゃべろうとするのは
深く考えて誠実にしゃべろうとするからだ
p189
興味のある人はぜひ読んでみてください。