こんにちは、もっちーです。
青春ミステリーとして紹介されていた「奔流の海」を読んでみました。
伊岡瞬さんの作品を読むのは初めて(すみません、実は名前を知ったのも今回が初めてです・・)
「奔流の海」は最終的に感動につながる物語でしたが、他の作品には捜査系のミステリーが多いみたいですね。
彼の特徴は人間の闇の部分を描き、読者に新鮮な感覚と驚きを与える「イヤミス」というスタイルです。
Book Crunchより引用
すっきりしない終わり方が待ち受けているミステリー小説・・と考えると、かなり自分好みの作家さんかもしれません。
今回の「奔流の海」は、20年という長い年月のあいだに隠されていた真相を追っていくストーリーになっています。
メインの登場人物である「裕二」と「千遥」のそれぞれの視点から物語が進んでいき、最終的にふたりの関係性が明らかになる結末へつながります。
エピローグ(↑画像の序章)で書かれていることが、なかなか本編中で触れられなかったので、正直どのような結末になるのか想像できませんでした。
ただ最後に近づくにつれて隠されたことが明らかになっていき、最終的にはハッピーエンドにつながる心温まる内容になっていたと思います。
最後に気になった文章をピックアップ。
おまえみたいな小心者の偽善者は、傷つくのを恐れて自分から誰かに近づいたりはしない。
p290
誰かが話しかけてくれれば、無関心をよそおいながらも内心では喜んでいるんだ。
登場人物の裕二に対して放たれたセリフです。
まさに自分の性格を言い当てられた気分になりドキッとしました。
「傷つくのを恐れて他人には近づかない」という生き方をしているにもかかわらず、「本当は誰かと繋がりたい」という本心があるのではないでしょうか?
このような考えに同感できる人は、主人公の気持ちに感情移入しながら楽しめる作品だと思います。