こんにちは、もっちーです。
今回は浅倉秋成さんの「俺ではない炎上」を読んだ感想を書いていきます。
状況がめまぐるしく変わっていき、ハラハラした展開を楽しめる作品でした。
濡れ衣で犯罪者に仕立て上げられて逃げる物語は、映画化もされている人気作品「ゴールデン・スランバー /伊坂幸太郎」と似ている感じではないでしょうか。
最後まで読んだところで「浅倉さんの叙述トリックに引っかかってしまった…」と悔しいお思いをすることに。
自分はこの手のトリックが大好きなので、似たような他の作品も読んでいますが、今回も最後までトリックに気づくことができませんでした…。
ミステリー好きな人には心を張ってオススメできる作品です。
登場人物のちょっとした行動に繋がる動機について、心に残ったセリフがあるのでメモに残しておきます。
ネットで人と会う約束をして、そのせいで大変な目に遭いそうになってしまった。
でも、だからってネットを使うことがすべて悪いことなんて、そんなはずがあるわけない。
だから教えてあげようと思って。ちゃんと使えばネットで人と会うことも素晴らしい体験になるんだよって。
タイトルの「俺ではない炎上」からも分かるように、インターネットを通して悪い噂が拡散していくことが物語のテーマになっています。
その中でインターネットによる赤の他人と出会うことの危険性も書かれていますが、正しい使い方をすることで自分の人生に良い影響を与えてくれることもあります。
ミステリー小説として楽しめるだけでなく、これからの時代にインターネットとどう向き合うべきか考えさせられる作品でした。
(こうやって読書メモを書いているのことも、いつかインターネットを通して誰かと感想を語り合えたりするきっかけになると嬉しいですね)
最後に少しだけ追記を…。
ここからはネタバレに繋がる部分に触れるので、まだ読んでない人は注意をしてください!
さまざまな登場人物の立場からものごとが進んでいく内容ですが、すべて同じ時間のように見せる叙述トリックはさすがだと思いました。
「花の鎖/湊かなえ」や「ワンダフル・ライフ/丸山正樹」のように、いくつかの短編が時間を超えて繋がっている…という作品をこれまでに読んできました。
わりと時間を操作する叙述トリックに慣れているはずの自分ですが、今回は浅倉さんの残したミスリードに引っかかってしまったと感じています。
その理由としては、事件に関するインターネット上の投稿です。
うちの息子が山縣泰介の息子と同じ高校に通っています。
非常に凶暴でクラスでよく問題を起こす生徒です。
山縣泰介には小学生の娘がいるって情報が出てたけど、本人の年齢を考えたらあり得ないような気がする。
実際に山縣泰介(犯人に仕立て上げられている主人公)には、山縣夏実という小学生の娘がいるので、正しいのは後者のツイートです。
ただ、このツイートには「小学生の娘がいる〜本人の年齢を考えたらあり得ない」と書かれています。
小説を読んでいる側からすると
いや山縣泰介の娘は小学生の女の子だから。
ネットの情報は不確実な内容が多すぎる。
と客観的に見ることができて、自分のほうが全体像を理解しているという気持ちになりました。
これが原因で全ての章が同じ時代であるとミスリードすることに繋がってしまったのだと思います。
いや〜面白かった。