こんにちは、もっちーです。
今回は住野よるさんの「かくしごと」を読んでみました。
正確には文字の間に「」が書かれている、ちょっと独特なタイトルの1冊になっています。
読んだ感想
これまで読んできた青春系の小説でいちばん面白かったです。
みんなには知られていない特殊な能力を持っている5人が主人公。
それぞれの視点から物語が進んでいき、なかなか本当の気持ち(かくしごと)を打ち明けられないモヤモヤ感をありのままに描いています。
目次のデザインもおしゃれです(記号の意味はストーリーとも関わっています…!)
「特殊な能力を持っている5人」という内容から少しSFっぽい感じもしますが、実際は他人の考えていることに気づきやすいHSPに近いのでは?と思いました。
心に残った言葉たち
書かれている文章にも、心に刺さるものが多くありました。
自分が悩んでいることを指摘させるような気分に…。
お調子者でいつもまわりを賑やかにさせている、パラというニックネームの女の子(本名は黒田)が隠していた気持ちにすごく同感しました。
それぞれメモとして残しておこうと思います。
心に残った言葉①
人には冷静ではない方がいい時というものがある。
p140
勢いで行動を起こしてしまった方が良いように思える。
未来のことを考えすぎで行動できない自分の教訓にもなりそうな言葉。
考える力の鍛え方という本に「キュリオシティ・ドリブン」という表現があり、好奇心を原動力にするという意味で使われています。
たまには感情の動くままに行動しても良いのかもしれません。
心に残った言葉②
私の言葉に、つい口から出てしまった言葉なんてほとんどない。
p167
その言葉はきちんと頭の中で精査され、考え抜かれた上で音となる。
これも分かりみが深み。
- あまり喋らないから話しかけづらい
- 口数が少ないから何を考えている分からない
- 会話が弾まないから楽しくない(飲み会などで)
とよく言われるのですが、それは自分が思っていることを話しても良いのか考える時間が必要だから。
考えていることを思いつくまま言葉にすることで、相手を傷つける可能性があるのでは?と不安になってしまうのです。
なので口にする前によ〜く考える時間が必要なんですよね
そんな気持ちをありのままに表現している言葉だと思いました。
心に残った言葉③
損得なんて考えない人間になりたいし、やりたいことだけ迷いなくやれる人間になりたい。
p181
でも実際の私はそうじゃない。私の言葉や行動は、私がなりたい私に過ぎない。
さきほど書いたように自分の気持ちに正直にいることができないので、つねに周りに合わせた行動を取りがちです…。
「〇〇だと思われたい」というポシディブな気持ちがある一方で、「△△と思われたくない」というネガティブな気持ちの方が圧倒的に多くなります。
このように他人から批判的に思われないようにするため、そうなるためにおどおどしながら行動している状態です。
心に残った言葉④
彼の心の中はきっと今、暴風雨のようにぐちゃぐちゃになってる。
p293
些細な誰かの言動に心を揺らし、それが形となって表れでもしたら、
中身の色を教えてもらう前にしっかりと傷を受けてしまう
他人が気にせず呟いたことに対して、異常なまでに自分の心を乱されちゃうことが多いです。
その言葉の意味が決して悪いことでないのにもかかわらず、勝手に悪いことだと思い込んで悩んでしまうんですよね。
このような感情を「中身の色を教えてもらう前にしっかりと傷を受けてしまう」と表現しています。
最後に
とても瑞々しくて懐かしい気持ちになりながら、登場人物の心情にひたってノスタルジックな気分に浸ることができました。
記憶を消してまっさらな状態でもう一度読み返したいと思う作品でした。