こんにちは、もっちーです。
今回は「どうしても生きている」を読んだ感想を書いていきます。

やっぱり朝井さんの作品は面白い・・・!
と改めて感じさせてくれる内容になっていました。
生きていく上で逃げることができないモヤモヤした気持ちを、生々しくてリアルな文章で表現してくれるのが魅力だと思います。


帯にも書かれているように「自分自身に隠されているダークな一面」が見つかるきっかけになる作品だと感じました。
何も考えずボーッと生きている自分にとって、このままではダメになってしまう・・と考えさせられる文章で溢れています。
最近読んだ「生殖記」と同じように、ただ単純に物語を楽しむだけでなく、生きる上での考え方を見つめ直す機会を与えてくれる作品でした。


最後に・・
心に残ったセリフがたくさんあったので、忘れないようにメモとして残しておこうと思います。
健やかな論理
日々”死ななかった”といういう籤(くじ)を引き続けているだけの
自分自身の生の不安定さそのものだと感じた
p45
流転
こちらに求めてくるものは、ずっとずっと変わらない
変わるのはいつだって、人間の方だ
p63
今の若い人たちって、生まれた時から便利な道具に囲まれて、ぜんぶ自分でコントロールできる時代
つまり、自分でコントロールできないものが苦手だから、恋愛もしないしセックスもしない
自分を他人に脅かされたくないから
p91
七分二十四秒めへ
生きていく上で何の意味もない
何のためにもならない情報に溺れているときだけ、息ができる
p150
風が吹いたとて
私はルールを破ったりはしない
だけど、何もしないということで、誰かが破ったルールの上を快適に歩いている
p209
そんなの痛いに決まってる
ふらっと遠出するのが好きだったな
きれいな景色を見てすげーって言って、反射神経で喋っちゃうって感覚
普段なら頭の中にある篩(ふるい)の細かい網目に引っかかって口までは落ちてこない言葉が
そのまますとーんと飛び出していく感じ
p247
「大丈夫?」と訊かれれば、ひとは「大丈夫」と答えるしかない
p270
そんなの痛いに決まっているってこと、言葉にできずぐっと我慢して
大人になればなるほど
傷ついたときほど傷ついた顔しちゃいけないし
泣きたいときほど泣いちゃいけない
p274
痛い時に痛いって、限界の時にもう限界だって
もう無理だって大きな声で言っても驚かない相手がいる空間にいたかった
p277
籤
新しい人間を雇うときに重要なポイントは
経験でもスキルでもなくて、プライドの無さだと思う
「自分の人生がこんなところで終わるはずない」って気持ちが一番厄介だし邪魔になる
p301
この人はまだ、大通りの真ん中に立ち続けようとしている
大通りの真ん中以外の道の歩き方を、知ろうとすることすら拒んでいる
p317
この世界でこれまで外れ籤を引かされたことのない人たち
自分とは関係のないところで生まれた暗闇に、放たれたことのない人たち
引き当てた籤がどんなものでも、人生を変えてでも、それでもやるしかない状態に陥ったことがない人たち
p367
朝井さんの考えている強いメッセージが伝わってくる作品でした。
興味がある人はぜひ読んでみてください。