こんにちは、もっちーです。
今回は「ベーシックインカムの祈り」という作品を読んだ感想を書いていきます。
タイトルを見ると社会問題を扱っているような気がしますね・・!
もっちー
なかなか触れることのないテーマを中心に書かれている作品で面白かったです
近い将来に実現しそうな技術がテーマになっていて、それぞれ以下のような短編に分かれています。
それぞれの章
- 言の葉の子ら
- 存在しないゼロ
- もう一度、君と
- 目に見えない愛情
- ベーシックインカムの祈り
人工知能や仮想現実のように、ある程度いまの時代で馴染み深くなってきたことにも触れています。
1〜4つ目までは関連しない短編の物語になっていて、最後の「ベーシックインカムの祈り」はそれぞれの短編をつなげ合わせる(?)ような形になっていました。
この中でも「目に見えない愛情」という短編がめちゃくちゃ感動的でした…!
最初の方に書かれていた特に意味のなさそうなやり取りが、最後の最後に大きく繋がっていることに驚きました。
「わたしってお母さんにかな?」
p153
不意打ちの質問に敏朗はまた一瞬でも口ごもる
「……ああ。似てるんじゃないか」
敏朗は昔の妻を懐かしく思い出した
p204
娘ははたして母親似だろうか
物語のラストまで読み進めて真実を知ったことで、かなり深い会話だったことに気がつきます。
娘が見ることのできる世界を広げるために、この決断をしたという事実に感動しました…!
解説されていた大森望さんの言葉に
技術は革新されても人間の情は変わらない
p284
だからこそ、本書では未来的なテクノロジーが
人間の心を映し出す鏡として機能する
というものがありました。
どれだけ技術が進歩しても、新しい体験で得られる楽しみや幸せは、これまで生きてきた中での感じ方がベースになっているという意味ですね。
興味のある人はぜひ読んでみてください。