とても面白かったです。
さまざまな苦しみや悩みから独立すること、それが自由になる意味だと書かれていました。
それぞれの物語の主人公は女性ですが、抱えている悩みは性別関係なく共感できる内容だと思います。
「缶椿」という話の中に納得するフレーズがあったので共有。
長いものには進んで巻かれるタイプだし、声の大きい人をいつも恐れている。
「缶椿」より引用
相手の機嫌が悪いときは、暗雲が通り過ぎるのを身を屈めてじっと待つ。
そうすれば、何もなかったように元通りになる。
いつのまにか身につけた処世術だった。
まさに自分の性格と同じ。この物語の主人公が感じている不安や悩みにも、共感できるポイントがたくさんありました。
最後の解説にも納得させられる文章がありました。
人生はままならないものだから、落ち込むことはたくさんある。
瀧井朝世さんの解説より
でも、ほんのちょっとの気づきが、ほんの一歩を踏み出す勇気が、見える景色をがらりと変えてくれる。
この短編集は、そんな幸福な循環のアソートボックス。
決して大きな変化が訪れるわけではないけど、小さな変化をきっかけに人生が動き出していくイメージです。そう言う意味では家シリーズの短編集(奥田英朗)に似ている感じもしました。
【感想】家シリーズ/奥田英朗
さまざまな家族を舞台にした短編小説。 はっきりとした結末で終わる形ではなく、その後のストーリーを読者に想像させるような構成になっています。 登場人物の未来を考…